ひとり子

UD 2.7: An Only Son

Ye ve divā ca ratto ca,

📖 現代語訳

このようにお聞きしました。あるとき、ブッダはサーヴァッティーのジェータ林にある、アナータピンディカの僧院に滞在しておられました。

さて、そのころ、ある信者の愛しい大切なひとり子が亡くなりました。すると、真昼に、濡れた衣服と髪のまま、何人かの信者たちがブッダのもとを訪れ、礼をして、傍らに座りました。

ブッダは彼らにおたずねになりました。「皆さん、どうして真昼に濡れた衣服と髪のままここに来られたのですか。」

その信者は答えました。「先生、私の愛しい大切なひとり子が亡くなったのです。ですから、真昼に濡れた衣服と髪のままここに参りました。」

そこでブッダは、このことを深く受けとめられ、次のような心からの言葉を述べられました。

「神々も、そして多くの人間も、
愛しく心地よいものに縛られている。
苦しみ、疲れ果てながら、
死の王の手のうちに落ちていく。

けれども、昼も夜も気づきを怠らず、
心地よいものを手放していく人は、
苦しみの根を掘り起こす——
逃れがたい、あの死の罠を。」