コーカーリカとの対話

SNP 3.10: With Kokālika

概要

コーカーリカという人物がブッダの高弟たちを根拠なく中傷し、ブッダの忠告にも耳を貸さなかった結果、自ら苦しみに陥る物語です。悪口や中傷がいかに自分自身を傷つけるかを教えています。

Purisassa hi jātassa, kuṭhārī jāyate mukhe; Yāya chindati attānaṁ, bālo dubbhāsitaṁ bhaṇaṁ.

📖 現代語訳

このように、わたしは聞きました。あるとき、ブッダはサーヴァッティーのジェータ林、アナータピンディカの園に滞在しておられました。

そこへ修行者のコーカーリカがやって来て、ブッダに礼をし、一方に座ってこう言いました。「師よ、サーリプッタとモッガッラーナには悪い望みがあります。悪い望みの虜になっています」

ブッダはコーカーリカにこう言いました。「そんなことを言ってはいけません、コーカーリカ。そんなことを言ってはいけません。サーリプッタとモッガッラーナを信頼しなさい。彼らは善き修行者です」

二度目も……三度目もコーカーリカは同じことを言いました。「師よ、わたしはブッダを信じ信頼していますが、サーリプッタとモッガッラーナには悪い望みがあるのです」

三度目もブッダは言いました。「そんなことを言ってはいけません。サーリプッタとモッガッラーナを信頼しなさい。彼らは善き修行者です」

するとコーカーリカは座から立ち上がり、ブッダに礼をし、右回りに回って去りました。去ってまもなく、彼の全身に芥子粒ほどの腫れ物が噴き出しました。腫れ物は緑豆ほどになり、やがて豆粒ほどになり、ナツメの種ほどになり、ナツメの実ほどになり、アーマラカの実ほどになり、未熟な木瓜ほどになり、熟した木瓜ほどになりました。ついにそれらは破裂し、膿と血が流れ出しました。

そしてコーカーリカはその病で亡くなりました。サーリプッタとモッガッラーナへの恨みのゆえに、紅蓮地獄に生まれ変わったのです。

夜更けに、輝く聖なる存在サハンパティが、ジェータ林全体を照らしてブッダのもとに来て、礼をし、一方に立ってこう申し上げました。「師よ、コーカーリカは亡くなりました。サーリプッタとモッガッラーナへの恨みのゆえに、紅蓮地獄に生まれ変わりました」

そう告げると、礼をし、右回りに回って、その場で姿を消しました。

翌朝、ブッダは修行者たちにこの出来事をすべて語りました。すると一人の修行者がブッダに尋ねました。「師よ、紅蓮地獄の寿命はどれほど長いのですか」

「長いのです、修行者よ。何年とか、何百年とか、何千年とか、何十万年とか、簡単には計算できないほどです」

「師よ、たとえで示すことはできますか」

「できます」とブッダは言いました。「たとえば、二十荷のコーサラ量のゴマがあるとします。百年ごとに誰かがそこから一粒ずつ取り出すとしましょう。この方法で二十荷のゴマがすべてなくなるほうが、アッブダ地獄のたった一つの寿命よりも速く尽きるのです。

アッブダ地獄の二十回分がニラッブダ地獄の一回分です。ニラッブダの二十回分がアババ地獄の一回分です。アババの二十回分がアタタ地獄の一回分です。アタタの二十回分がアハハ地獄の一回分です。アハハの二十回分がクムダ地獄の一回分です。クムダの二十回分がソーガンディカ地獄の一回分です。ソーガンディカの二十回分がウッパラカ地獄の一回分です。ウッパラカの二十回分がプンダリーカ地獄の一回分です。プンダリーカの二十回分が紅蓮地獄の一回分です。

コーカーリカは、サーリプッタとモッガッラーナへの恨みのゆえに、紅蓮地獄に生まれ変わったのです」

ブッダはこのように語り、さらに師は続けて言いました。

「人が生まれるとき、口の中に斧が生まれます。
愚か者が悪しき言葉を語るとき、
その斧で自分自身を切り刻むのです。

批判されるべき者をほめ、
ほめられるべき者を批判するなら、
自分の口で負け札を選ぶことになり、
それでは決して幸せを見いだせません。

サイコロでの負けは些細なことです。
失うのはお金や持ち物、
自分自身でさえも。
しかし本当にひどい負けとは、
聖なる方々を憎むことです。

聖者を中傷する者は、
悪い言葉と悪い思いを向けて、
十万かける千万、
さらに五百三十六かける千かける千万年もの間、
地獄に行くのです。

嘘つきは地獄に行きます。
やったのに「やっていない」と否認する者も同様です。
あの世では、どちらも同じ。
卑しい行いの者たちです。

害を与えていない人、清らかで汚れのない人を傷つける者、
その悪は愚か者自身に返ってきます。
向かい風に投げた細かい塵のように。

貪りの道に耽る者、言葉で他人を罵る者、
信義のない者、けちで、施しを知らず、
陰口に耽る者。

口汚く、人を分断させ、高貴でなく、
命を奪い、邪悪で、悪行を重ねる者、
最低の人間、呪われた者、卑しい者よ――
黙りなさい。あなたは地獄行きなのですから。

あなたは塵をまき散らし、害をなしています。
罪深き者よ、聖なる方々を中傷しているのですから。
多くの悪行を重ねた後、
長い時の間、深い穴に落ちるのです。

誰の行いも決して消え去ることはなく、
その持ち主のもとに返ってきます。
愚か者は来世で、
自分自身の中に苦しみを見ます。

串刺しの場所に近づき、
鉄の棘と鋭い刃と鉄の杭に出会います。
そしてふさわしい食べ物は、
真っ赤に焼けた鉄の球です。

そこでは誰も優しい言葉で語らず、
急ぐこともなく、避難所もありません。
炭の敷物の上に横たわり、
燃えさかる炎の中に入ります。

網にくるまれ、
鉄の槌で打たれます。
霧のように広がる暗闇、
盲目のような暗黒の中に入ります。

次に銅の大釜に入ります。
燃えさかる炎の塊の中に。
その中で長い間焼かれ、
炎の中でもがき苦しみます。

膿と血の混じったものの中で、
罪深き者は焼かれるのです。
どこに身を落ち着けようとも、
触れるものすべてが苦痛をもたらします。

虫のわく水の中で、
罪深き者は焼かれます。
岸に行くこともできません。
周りはすべて同じ種類の釜だからです。

鋭い刃の葉の森に入り、
身体を切り刻まれます。
釣り針で舌を掴まれ、
何度も何度も突き刺されます。

そして渡りがたいヴェータラニー川に近づきます。
鋭い刃と剃刀の刃を持つ川です。
愚か者たちはそこに落ちるのです。
悪しき行いをなした悪しき者たちが。

そこでは茶色や斑模様の犬、カラスの群れ、
貪欲なジャッカルが嘆く者たちをむさぼり食い、
鷹やカラスがつつきます。

まことに困難な生が、
罪深き者がここで耐えるものです。
だからこそ、この残りの人生において、
人は務めを怠りなく果たすべきです。

学者たちは、紅蓮地獄と比較したゴマの荷の数を計算しました。
五千万かける千万、
さらに千二百かける千万年――
地獄での暮らしは苦痛に満ちていると語られ、
それほど長い間、そこに住まねばなりません。

ですから、清らかで穏やかで善い徳のある方々に対しては、
言葉と心を常に守りなさい。

💡 解説・ポイント

歴史的背景

コーカーリカはブッダの二大弟子であるサーリプッタとモッガッラーナを「悪い欲望に取り憑かれている」と中傷しました。ブッダは三度にわたり「そう言ってはならない」と忠告しましたが、コーカーリカは聞き入れませんでした。この経典は根拠のない中傷の恐ろしさを描いています。ブラフマー(創造の神)さえも現れてコーカーリカに警告する場面があり、中傷という行為がいかに重大な過ちとされていたかがわかります。

現代の私たちへのメッセージ

ネット上の誹謗中傷が社会問題になっている今、この経典の教えはかつてないほど切実です。根拠のない悪口は、言われた相手を傷つけるだけでなく、言った本人をも蝕んでいきます。一度発した言葉は取り消せません。特にSNSでは、安易に書き込んだ一言が大きな波紋を広げることがあります。発信する前に「これは真実か」「これは必要か」と自問すること。口を開くたびに、自分の未来を作っているのだという自覚が大切です。

📚 重要用語

Kokālikaコーカーリカ。根拠なく他者を中傷し、自ら苦しみに陥った人物です。Pisuṇavācā中傷・陰口。人間関係を壊し、自分自身も傷つける言葉です。Pharasu斧。口から出る悪い言葉は、自分自身を切る斧のようだというたとえです。

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